「私、腹筋無いんです~~」
一伶庵にいらっしゃるお客様から
よく聞く言葉です。
すごく気持ちがわかります。
以前は私もよ~く言っていました(笑)
今は、
「腹筋が無い人なんていないんですよ~。
上手く使えているかどうかが違うのですよ~。」
とお答えすることが多いです。
本当に腹筋なかったら、
座ることも立つことも、
たぶん寝ることすらもできなくなってしまいますからね。
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何らかの理由で
上手く腹筋が使えなくなってしまうと、
前に屈むと腰が痛い。
太ももを上げるのが辛い。
寝返りを打つと腰が痛い。
寝た姿勢から起き上がるのが辛い。
などの症状が出ます。
そう、お腹がダメになった時は
背中側の筋肉が頑張るので、
痛くなるのはお腹ではなく腰なのです。
そういう腰痛の方は
触診でお腹に触れると痛みがあるので、
お腹なの?とびっくりされます。
腱引きでは腰痛の時に、
腹筋の調整も視野に入れて施術をするのです。
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いわゆる「腹筋」は
肋骨から、恥骨、腸骨などの骨盤についています。
もちろん腹筋の一部は背面にも回っていて、
丸い筒のようになって
腹部~背部全体を支えています。
この腹筋は、4層になっています。
外腹斜筋

内腹斜筋

腹直筋

腹横筋

という順番で層を作っています。
腹直筋以外は薄い膜のような筋肉です。
お腹を縦に走る筋肉が「腹直筋」
一般的に『割れた腹筋』と言われる時の腹筋は、腹直筋のことを指しています。
「外腹斜筋」は斜め下に向かっています。
「内腹斜筋」は斜め上に走ります。
この2つはくびれを作る筋肉とも呼ばれています。
「腹横筋」は、腹巻のように横方向にお腹を覆っています。
この4つの筋肉が、異なる方向に走行することで腹部を安定させているのです。
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腹直筋は、アウターの筋肉です。
瞬発的な力を発揮することが得意です。
腹横筋は、インナーマッスルです。
持続的であり、コアの筋肉です。
役割の違いを感じてみましょう。
仰向けに寝て、
お腹を触ってみてください。
両足をグッと持ち上げると
お腹が硬くなりますね。
それが腹直筋です。
次に、足を下ろして、
お腹をペチャンコにするように
グッと力を入れてください。
すごく力を入れているのに、
お腹の表面は柔らかいままでしょう。
それが腹横筋を使っている状態です。
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では、腹筋をバランスよく使っているかのチェックをしてみましょう。
そのまま仰向けで、
床に足はつけたまま、
両膝をいっぺんに曲げてみます。
その時に、
お腹の上部が硬くなった方は、
少しバランスがとれにくくなっています。
お腹が柔らかいまま、
膝が曲げられたら、
上手く腹筋のユニットが働いています。
床に足をつけたまま曲げる時には、
インナーマッスルの腹筋と、
骨盤内の筋肉群、
太ももの筋肉群などで本来は受け持っている動作なのです。
そこにアウターの筋肉、
腹直筋の力が必要だとしたら
他の筋肉が上手く使えていないので
代わりに働いてくれているということなのです。
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腹筋のバランスをよくしていくのには、
キチンと使ってあげることが大切です。
しゃがむ動作は、
自然に下腹に力が入ってきます。
オススメです!
1分以上しゃがみ続けられるようなことを
日々の生活の中に組み込んでいくとよいですよ。
もう一つ、
座りながら、
椅子でも正座でもあぐらでも良いです。
前かがみになって呼吸してみること。
前かがみになるとお腹で自然に呼吸ができます。
そういう風にカラダはデザインされています。
自然と肚を決める呼吸になるのです。
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「腹が決まる」
「腹が座る」
「腹の底から笑う」
腹という言葉は
度量や胆力を表す言葉でもあります。
言葉からカラダをみていくと、
毎回その叡智に感動してしまいます。
下腹辺りのお腹の状態と
度量や胆力などの心の状態は繋がっています。
カラダの肚から整えて
気持ちまで整えていけるのです。
うーん楽しいですね。